有価証券 ≪財産権・証券・金融≫

私法上の財産権を表章する証券で、その権利の利用が証券をもってしなければならないもの。

貨物引換証、船荷証券、倉庫証券のように、権利の移転および行使に証券の占有を必要とするもの、手形や小切手のように、権利の移転・行使だけでなくその発生についても証券の発行を必要とするもの、さらに株券のように、権利の移転には証券の占有を必要とするが、権利の行使は証券によってではなく、株主名簿の記載によってなされるものなどがある。

このことから、有価証券に共通の要素として、権利の移転と証券との関係に着目し、有価証券は財産権を表章する証券で、その権利の移転に証券の引渡しを要するものと定義する学説があり、英米の流通証券negotiable instrumentという概念構成もこの考え方に類する。

いずれにしても、有価証券は、程度の差こそあれ、証券と権利とが密接不可分の関係にあり、権利の移転・行使を円滑・安全に行い、これによって証券の流通性を確保しようとする近代資本主義が育成した法技術の制度である。

本来、権利の移転や行使に関して作成された証書は、一つの証拠物として機能していたのであるが、経済の発展に伴い、財貨の流通が激しくなるにつれて、財貨を一定の証券の形式に表章し、資本の流通や回収に役だたせようとする要請により、「権利と証券との結合体」である有価証券制度が生まれた。

このように金銭その他の物または有価証券に対する権利を証券が表章しているという関係を法律的に実現したものが有価証券の制度である。

証券に表章されている権利者の表示方法によって、記名証券・指図証券・無記名証券・選択無記名証券に分けられ、また証券に表章されている権利によって、物権証券・債権証券・社員権証券に分けられる。

さらに、証券に表章された権利が、証券授受の原因である法律関係の有効な存在を要件とするか否かによって、要因証券と無因証券に、また、証券の文言が、当事者の権利義務の範囲を決定するか否かによって、文言証券と非文言証券に分けられる。
update:2010年01月31日